東京ソワール、既存店舗を新常態に適う生活提案型へ
2021/10/04 3:53 pm
コロナ禍がもたらした「新常態」に適う“新しいフォーマルのかたち”を――。東京ソワールは、百貨店や量販店などに展開するブラックフォーマルウエア売場を生活提案型に再構築する。子供の発表会や誕生日会などで着られる汎用性の高いデザインの“ブラックウエア”を揃えるブランド「hitoiro(ヒトイロ)」を新規に投入するとともに、ドライフラワーのギフトボックスの販売を始め、陳列する商品を整理してゆったりとした空間に変えるなど、従来の売場のイメージを一新。冠婚葬祭だけでなく、日常的に立ち寄れる売場を目指す。
「これまでフォーマルウエアに特化して同業他社と差異化してきたが、コロナ禍でフォーマルの定義が変わってきた。例えば、今や親族やママ友とのランチもフォーマルの1つで、そういう時に着られるブラックフォーマルウエアが求められる」。東京ソワールはフォーマルウエアの転換期を捉え、物づくりから店舗の環境まで再編に乗り出す。
目下、約140の店舗を構えるが、まずは「モノポリー店舗」と呼ぶ直営や“一社体制”の65の店舗で着手。量販店内の店舗は来年1月、百貨店内の店舗は同2月を目途に、売場の3分の1ほどをリニューアルする。
リニューアルに合わせ、新たな商品も組み込む。「黒という1つの色、私らしい場面で装える“ヒトの色”」(東京ソワール)という想いを名前に込めたブランド、hitoiroは袖付きのワンピースなど6型からなり、価格は3万6000円~5万3000円。スリットを入れたり、背中の開き方を変えられたり、襟に開きがあったり、汎用性だけでなく“リラックス感”も追求した。
同じく新たに販売を始めるドライフラワーのギフトボックスは3~4型を予定し、価格帯は4000~5000円台。量販店の店舗では1000円以下も扱う。花はギフトの定番だが、“生”は調達や管理などが難しく、“ドライ”を選んだ。
品揃えでは、他にコサージュを拡充する。インターネット通販サイトでの売れ行きが良いためで、東京ソワールは「コロナ禍で冠婚葬祭の大半が中止を余儀なくされた昨年の反動」と分析。「PETITSOIR(プチソワール)」で小ぶりなコサージュを新たに提案する。hitoiroでもイヤーカフやヘアクリップを打ち出すが、同社は「冠婚葬祭が再開され、よりファッション性を重視する人が増えた」と、アクセサリー類の需要に期待を寄せる。
新しい店舗では、商品の陳列の方法も変更する。9月29日~10月1日に開いた展示会では「A」、「B」、「C」の3種類の案を示したが、いずれも導線を十分に確保。客にとって、より入りやすい、歩き回りやすい環境を提供する。
念珠や袱紗、コサージュといった一部の商品も陳列の方法を見直す。例えば念珠は桐箱に入れて陳列してきたが、樹齢が200年以上の吉野杉の一枚板に載せ、より目を惹きやすくする。一枚板は袱紗やコサージュ、ヴィクトリアンジェットにも用いる。
9月29日~10月1日の展示会は「新しいフォーマルのかたち」と題した。その文字通りに店舗を新生させ、「アフター・コロナ」を勝ち抜く。