宅配ケーキの拡充や受け取り予約で、クリスマスも『密』回避
2020/11/06 1:00 pm
2020/11/06 1:00 pm
コロナ禍に見舞われ〝新常態〟となった初のクリスマスケーキ商戦では、各百貨店は配送ケーキを増やしたり、店頭受け取りを予約制にしたりすることで3密を防ぎ、安心・安全を提供する。また、今年は外出や大人数でのパーティを避けて家庭で過ごす人が多いと予想されるため、少人数でも楽しめる小さいサイズのケーキなどを揃えてイエナカ需要を取り込みにかかる。人気の高い有名パティスリーやホテルとのコラボケーキも引き続き充実したラインナップを用意する。
阪急阪神百貨店の「阪急」のれんでは、阪急うめだ本店で店舗の近隣エリアに生ケーキを届ける「エリア限定宅配『ケーキ宅配』
「阪神」のれんの阪神梅田本店では新型コロナの対策として、カタログを制作せずインターネット通販(EC)サイトでの予約を促進する。店頭ではECサイトのQRコードを案内。ECサイトで注文すると抽選でスイーツ売場で使える金券が貰えるといった特典を付けた。ECサイトには客が選びやすいように「いちごのケーキ・フルーツケーキ」、「ショートケーキ」、「チョコレートケーキ」でカテゴリを作り、人気ランキングも掲載している。
そごう・西武は公式通販サイト「e.デパート」の品揃えを昨年より約2割増やした。自宅で少人数で楽しむ人が増えることを予想し、1つずつカップに入ったケーキや、小さなケーキを揃えた詰合せを用意する。店頭受け取りのケーキも11月3日からデジタルカタログを掲載し、ネット上で事前に絞り込めるようにする。また、今まで一部店舗でしか設けていなかった予約専用電話を各店に設置する。店頭では、予約ケーキの受け渡し場所を複数設けたり、毎年混雑するブランドの販売拠点を食品フロア以外の場所に置いたり、予約ケーキを受け取る時間を事前に指定したりなどで密を避ける。店舗によって採用した施策は異なる。
三越伊勢丹の伊勢丹新宿店はオンラインストアで配送可能な冷凍ケーキやクリスマススイーツを増やす。冷凍ケーキは昨年までホテル系などを揃えていたが、今年はパティシエが作る冷凍ケーキが初登場する。店頭で渡す生ケーキは、今年は24日と25日だけでなく19日と20日を受け渡し日に加えて、当日より前の週末に過ごすクリスマスを提案する。予約は原則オンラインストアのみだが、本館地下1階の売場で取扱う商品は店頭でも予約を受ける。
高島屋(関東各店)は、自宅へ配送できるケーキの数を強化。加えて、クリスマス当日に向けて毎日少しずつ食べる焼き菓子「シュトーレン」や、ドイツの伝統的なお菓子の家「ヘクセンハウス」を自分で組み立ててアイシング出来るキットなど、家庭で楽しめるアイテムを多彩に揃えた。サスティナビリティも意識し、従来プラスチック材などで作られていたケーキの飾りを、チョコレートなど食べられるものに置き換えた。関東各店版のクリスマスケーキカタログに掲載している持ち帰り用ケーキ全61種類のうち、53種類がこれに該当する。
「ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ」の「LOVE ROSY」はピンク色のラブレターをイメージした
東急百貨店は家で過ごすクリスマスのため、様々な商品、サービスを用意した。冷凍配送のケーキを揃えるほか、最後の飾りつけを自分でできるケーキやスイーツなどを拡充。たまプラーザ店と二子玉川東急フードショーでは、地域と数量を限定して冷蔵配送のサービスを実施する。店頭受け取りのケーキは「Love Letter ~想いを届ける~」をテーマに、花束や手紙、ハートなど大切な人に思いを届けることをイメージした、華やかなケーキを打ち出す。一部のケーキは断面や色々な角度から確認できる動画を用意し、家でゆっくりと選んでもらう。
東武百貨店は、今年が人と人とのつながりを実感する1年であったことから、ハートモチーフやシェアしやすい小分けケーキを打ち出す。また、家で過ごすクリスマスをより一層楽しんでもらうため、東京駅の3Dプロジェクションマッピングなどを手掛けるネイキッド社と協業。インターネットでクリスマスケーキを予約した人がAR(拡張現実)でデジタルアートを体験できるギフトをプレゼントする。ケーキにセットするピックに専用アプリをダウンロードしたスマートフォンをかざすと画面上でデジタルアートの演奏会が流れるもので、ギフトとしても使用できる。
松屋はコロナ禍でデリバリー需要が拡大していることから、全国に配送できる「デリバリーケーキ」を2年ぶりに復活させた。インターネット通販サイト、電話で注文できる。ラインナップは、「帝国ホテル」や「日本橋 千疋屋総本店」など4ブランド5種類。店頭受け取りケーキでは、大人数でのパーティーを自粛し少人数で過ごす人に向けては、4号(約12センチ)サイズの小さめケーキを昨年より充実させた(10ブランド15種類)。ホテルやメゾン、パティスリーのケーキも用意し、ホテルやレストランで外食をしていた人が自宅でも贅沢な気分を味わえるようにする。
京王百貨店は1年を締めくくるご褒美として、独創性のあるデザインや繊細な技術が光る、見た目も華やかなケーキを展開する。国内パティスリーの実力派パティシエが作るこだわりケーキの人気が高く、年々売上げも拡大していることから、今年もラインナップを充実。「ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション」や「ルノートル」など、新たに4つのパティスリーが登場する。新しい生活様式に対応する、切り分け不要のプチケーキのセットや、一人分サイズのケーキも揃える。
「ヴィタメール」の「ノエル・ピスターシュ ショコラ」はトレンドのピスタチオクリームを使用して仕上げた
大丸松坂屋百貨店もホテルや有名パティスリーの冷凍配送ケーキを揃える。大丸東京店では、今年のクリスマスは少人数で楽しむ人が増えることを予想し、サイズが小さめでも高級感のあるケーキを打ち出す。トレンドのピスタチオを使用したケーキや、リモートパーティに適した見た目の華やかな〝映え〟ケーキ、王道のいちごをふんだんに使用したケーキなど、10.5~14センチのケーキを豊富に揃えた。パーティーシーンだけでなく、自分へのご褒美としても提案する。
京阪百貨店は「おうちで贅沢」を意識し、高額なラグジュアリーケーキを拡充。従来は3000~4000円の価格帯を中心に取り扱っていたが、今年は京阪百貨店の開業35周年を記念した「ホテル・アゴーラ 大阪 守口」の「Noel Pistache(ノエル ピスターシュ)」(5000円)や、「コンラッド大阪」の「クリスマス・ナイト」(5800円)などが登場する。高額ケーキは予約開始以降好評を博し、担当者の予想以降に注文が入っているという。