ミキハウス、最高品質の「ミキハウス ゴールドレーベル」好発進 プレミアムな接客販売が奏功
2022/10/03 9:00 am
8月にスタートした、ミキハウスの最高級ライン「ミキハウス ゴールドレーベル」(以下、ゴールドレーベル)が好調だ。「ゴールドレーベル」は、海島綿やカシミヤ、ポーランド産のホワイトグースダウンなど高品質の素材の使用、製造方法にも徹底的にこだわり、「子供にとにかく良いものを着させてあげたい」という客の心を掴んだ。
日本では本店と主要百貨店、外商サロン、催事でも販売を開始し、海外ではイギリス、フランス、中国などで展開する。現在6シリーズの計30SKUを揃え、カラーは白を基調に、素材や縫製の良さを感じてもらえるようシンプルなデザインとしている。
好調の背景には、創業当時から変わらない、子どものことを第一に考えた最高品質の商品と格別のサービスを提供できる販売環境の他、ショップスタッフの顧客一人一人に寄り添う接客力がある。
特に、落ち着いてゆっくりと買い物を楽しめる個室スペースの「ラウンジ」を活用した接客や、百貨店外商の持ち回りなど、商品にふさわしい“特別な接客方法”で成果を上げている。販売員や百貨店からの問い合わせも多く、生産が追い付かないほどだという。
素材にマザーグースダウンや海島綿、カシミヤを採用
素材にこだわった高品質な商品は以前から単発的に販売してきたが、1つのブランドとして「最高の品質で本物の商品を届けたい」という想いから、品質を徹底的に追求したシリーズ「ゴールドレーベル」が企画された。
以前から販売していた海島綿を使ったベビー肌着では、「子供にとにかくいいものを着せたい、心地よく過ごしてほしい」というニーズの高さ、その品質の良さからまとめて購入し、その後、リピートで買うようになった客が少なくなかったという。
海島綿のベビー肌着は、販売している他のベビー肌着より高価だが、他にはない付加価値を求めて、国内外から買い求める客が多く集まった。MD本部商品MDブランド担当マネージャーの高橋丞二氏は「お子様のためなら価格を気にせず良いものを購入されるお客様がおられ、そうした方が満足できる商品やサービスを提供するのがミキハウスに期待されている役割だと、強く実感した」と語る。
「海島綿」シリーズは、カリブ海などの限られた地域にのみ生育する超長綿のシーアイランドコットン(海島綿)を使用。海島綿は油分を多く含みしっとりとした感触で、着心地の良さも他の綿素材とは一線を画す。ベビー向けにカバーオールやバスローブ、幼児向けに半袖Tシャツやトレーナーなどを用意する。
その他、熟練の特殊技術による接結二重構造で編み立てられた「カシミヤ×シルク」のセーターや、保温性・弾力性に優れ軽くて暖かい、世界でも有数の最上級クラスのポーランド産ホワイトグースダウンを贅沢に使用した「ダウン」シリーズ、履き心地の良さを徹底的に追求しアッパー素材や靴底の厚さを1ミリ単位で調整した「シューズ」シリーズなど、素材と技術にこだわった商品を展開する。
環境や接客も最高レベルを用意し、「特別感」を演出
こうした高級で良質な商品を売るためには、接客や売場環境といったサービスの充実が不可欠だが、同社はそれに長年力を注いできた。9月には、松坂屋名古屋店のベビー売場の内装をリニューアルし、商品の見せ方だけでなくウィンドウや床など細部からも、より高級感を感じられる空間を表現した。
売場には「子育てキャリアアドバイザー」の社内資格を持つスタッフをはじめ、社内研修を通じて、最新の子育ての情報や商品について精通しているスタッフを揃える。売場に併設する個室型の接客スペースとして「ラウンジ」も展開し、一人一人の相談に応じながら付加価値の高い接客サービスを提供している。
「ゴールドレーベル」は常設の売場内に専用コーナーを設ける形でスタートしたが、ラウンジや外商サロンといったクローズな環境でも販売し、時間を掛けて丁寧に商品の価値を伝える。
さらに、接客のレベルも一段高いものを目指し、サービスや陳列方法においても細かなルールを策定。「高価な商品のため、丁重に扱うためでもあるが、ゴールドレーベルにおいては、どこの店舗に行っても同じ高級感を感じられ、同じレベルのサービスを提供する意図もある」とMD本部MD推進部の高山涼子氏は説明する。
また、販売開始前には、日頃から顧客と接する全国の販売員とリモートで勉強会を実施。商品についてMD本部から伝えるだけでなく、どのような言葉選びをすれば客に商品の良さがより伝わりやすいかを販売員と共にディスカッションした。
ベビーラウンジの活用や持ち回り販売に成果
発売後、顧客からの反応は好評。売上げも順調に推移している。中でも、海島綿シリーズの人気が高い。
実際に手に取ると肌触りの良さがわかるため、「大人用を自分にもほしい」という客も現れたほどだ。海島綿を使用したベビー肌着は以前から販売しており、「大きくなった時に着せられなくて残念」という声も寄せられていたため、「待っていました」という反応もみられた。「夏は服が売れにくい時期ということもあり、予想を超えた売れ行きに驚き、同時に安心もした」と高橋氏は振り返る。
このスタートダッシュの原因には、ベビーラウンジの活用がある。同店はゴールドレーベルに関心のある客を積極的にベビーラウンジへ案内し、そこで接客を行っている。事前予約も受け付けており、スタッフが1時間半程度、マンツーマンで客一人一人に合わせた商品を提案する。こうした丁寧な接客方法と付加価値の高い販売環境が売上げに大きく寄与した。商品が特別感のあるものだけに、“特別な空間と特別な時間を提供し、その中で販売する”という手法が奏功したと言えよう。
常設の売場以外では、新客との接点のため外商顧客向けの販売も行っている。ミキハウスの店長が外商員に同行し、持ち回り販売を実施。サテライトショップで、期間限定の展示会も行った。売れ行きは良く、「コロナで旅行や外出ができない分、買い物を楽しむという傾向が追い風となった。さらに、『販売店での取り扱いが少ない、貴重な商品をわざわざ持ってきてくれた』と喜ばれるお客様も多かった」(高山氏)。ここでも、特別感のある接客販売が購入に結び付いている。
百貨店や販売員からオファー多数、拡販に急ぐ
他の百貨店の関係者やミキハウスの販売員からも、「自店のお客様にもゴールドレーベル使って頂きたい」、「ぜひうちに商品を回してほしい」という声が寄せられている。ただ、稀少な素材を使っているため、すぐには大量生産できないのが現状だ。「もちろん商品のクオリティは落とせないが、要望の声に早く応えられるよう、生産計画を立てていく」(高橋氏)構え。
「ゴールドレーベル」の商品は、ミキハウスの通常の商品と比べてもかなりの高価格帯に位置する。好調の要因にコロナ禍による外出の自粛、富裕層マーケットの伸長があるのは間違いないが、商品に価格相応の価値があることを伝えられる環境を整えていたのも大きい。商品、環境、接客の全ての面で「高品質」を提供することで、上質を求める顧客のニーズに応えていく。