松屋は子スキャンデックスと、初のキャラクタービジネスに参入
2020/01/10 9:52 am
松屋は子会社で北欧ブランドの専門商社・スキャンデックスと、初のキャラクタービジネスに参入する。両社は共同でプロジェクトを立ち上げ、スキャンデックスが二〇一八年にグローバルライセンスを取得したフィンランド発のキャラクター「ムーミン」に関連する商品開発や販売を手掛ける。第一弾は松屋銀座本店の食品部と連携し、「ブルガリ イル・チョコラート」(以下、ブルガリ)とコラボレーションした商品を開発、十二月六日に同店とブルガリのネット通販サイトで発売した。二〇年一月以降も食品ブランドとのコラボ商品を販売予定で、松屋では二〇年三月までの開発商品で二千万円の売上げを目標に掲げる。今後、スキャンデックスではリビングウェアなどにも対象を拡大し、松屋以外にも販路を広げていく方針。
今年で創業百五十周年を迎えた松屋は「デザインの松屋」として特徴的な新規事業の開拓を進めており、今回のムーミンプロジェクトでは一九六〇年代から力を入れてきた北欧デザインの発信強化を狙う。
これまでにないアート性の高い商品の開発が肝となる。十一月二十五日に開かれたプロジェクトの発表会で、松屋取締役専務執行役員スキャンデックス顧問古屋毅彦氏は「ムーミンは原作者トーベ・ヤンソン氏の作品から生まれたアート。コラボにおいてもアート性にこだわって制作した」と説明。ムーミンの著作権を持つムーミンキャラクターズ社社長ロレフ・クラクストロム氏は「商品だけでなくムーミンのストーリー性や価値観を伝えていきたい」と語った。
第一弾となるブルガリとのコラボ商品「ブルガリ イル・チョコラート ムーミンエディション」では、キャラクターの醸し出す個性や物語からインスピレーションを受けてフレーバーを設定。チョコレートの表面にキャラクターのイラストを描き、優しい性格の「ムーミントロール」は皆に愛される「バナナ」、「スナフキン」は木苺の葉をパイプで吸うシーンに着想した「スモーキーラズベリー」、ダンディーな「ムーミンパパ」は「コーヒーブランデー」、小柄ながら切れのある物言いが特徴の「ちびのミイ」はぴりっとスパイシーな「山椒&アーモンド」の風味で展開する。数量限定で二度に分けて販売。六日~二十五日まではムーミントロール、スナフキン、「スノークのおじょうさん」、「スニフ」、「おしゃまさん」、二十六日~二〇年二月十四日まではムーミントロール、ムーミンパパ、ちびのミイ、「ムーミンママ」、「ミムラねえさん」を用意する。価格は二個入りが税込み三千五百円、五個入りが同六千五百円。
また二〇年以降、第二弾の発売を予定で、現在は「とらや」、「ピエール・エルメ・パリ」、「デメル」、「松﨑煎餅」、「銀座清月堂」との商品を開発中している。
ムーミンは一九六四年に初めて日本で翻訳出版され、六〇年代終盤のテレビアニメ放送開始から爆発的な人気を獲得。以降コアなファンを増やしてきた。〇八年からはムーミンキャラクターズ社がキャラクターを原作に忠実に打ち出す戦略に転換。アート性の高い商品を展開し始め、一〇年以降、売上げが約十年で六倍に拡大した。
矢野経済研究所の発表によると日本におけるキャラクタービジネス市場は一七年に二兆四千五百三十九億円で一〇年からほぼ横ばいだが、少子化対策として各社が展開する大人向けの商品が好調という。ムーミンの世界市場規模は一八年で約九百三十億円にのぼり、そのうち約四六%と半数近いシェアを占める日本市場が有望視されている。