<ストレポ5・6月号掲載>店舗別/品目別 全国百貨店2020年暦年売上高ランキング
2021/05/24 8:00 am
コロナ禍の全国百貨店の2020年(令和2年)暦年売上高(日本百貨店協会調査、73社196店)は4兆2204億円余で、既存店ベース(店舗数調整後)前年比は25.7%減となり、過去最大のマイナス幅を余儀なくされた。12月まで毎月マイナスが続いた結果、売上高は前年よりも1兆5342億円も減少。地方都市(10都市以外の地区)合計の売上高(20年暦年1兆2721億円)を凌ぐ規模が消滅したことになる。インバウンド需要の激減の影響も少なくないが、やはり新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時休業や営業自粛、消費環境の劇的な変化による国内市場(国内顧客)の低迷が響いた。業界は未曾有の緊急事態に陥った格好だ。
※この記事は、月刊ストアーズレポート2021年5・6月号に掲載の特集「店舗別/品目別 全国百貨店2020年暦年売上高ランキング」(全28ページ)の一部を紹介します。購読される方は、こちらからご注文ください。(その他5・6月号の内容はこちらからご確認いただけます)
異例の実績を強いられた20年の全国百貨店の月別売上高前年比(調整後)を列記すると、1月3.1%減(19年2.9%減)、2月12.2%減(同0.4%増)、3月33.4%減(同0.1%増)、4月72.8%減(同1.1%減)、5月65.6%(同0.8%減)、6月19.1%減(同0.9%減)、7月20.3%減(同2.9%減)、8月22.0%減(同2.3%増)、9月33.6%減(同23.1%増)、10月1.7%減(同17.5%減)、11月14.3%減(同6.0%減)、12月13.7%減(同5.0%減)。12カ月連続のマイナスで、消費税が10%に引き上げられた前年の10月からマイナス基調が続いた。
四半期ベースの前年比では1~3月16.8%減(19年0.9%減)、4~6月51.7%減(同0.9%減)、7~9月25.6%減(同6.8%増)、10~12月10.8%減(同8.8%減)。4月7日に7都府県に発出された緊急事態宣言に伴う臨時休業や営業時間短縮、外出自粛の影響が直撃した4~6月の落ち込みが目立つ。ただ7月以降の下半期も新型コロナの「第2波」、「第3波」に見舞われ、7~9月も2割以上のマイナスだ。
■4月が過去最大の72%減 10月に1%台の減まで回復
20年を簡単に振り返ると、1月は記録的な暖冬で季節需要が減退したが、春節の月ズレによって免税売上高は2桁伸長した。しかしながら下旬から新型コロナの影響が表れ始めたため、前年の10月から数えて4カ月連続減となった。そして翌2月からこの影響が一気に広がった。バレンタイン商戦が健闘したものの、外出自粛の影響で入店客数が約1割も減少し、加えてインバウンド需要が春節のズレと中国政府による団体海外旅行禁止の影響で前年比65%減に激減したため、2月から2桁減の水準に陥り、コロナ禍の「超低空飛行」が始まった格好だ。
■10都市が28%超のマイナス 減少額の75%超を占める
地区別の暦年売上高前年比は、コロナ禍以前まで堅調だった10都市が28.1%減(19年0.8%減)で、対して地方都市(10都市以外)が19.4%減(同2.8%減)。両地区共に前年よりも大幅なマイナスだが、特に10都市は全国水準を上回るマイナス。東京の29.1%減をはじめ、大阪31.6%減、札幌33.0%減、福岡27.0%減など、新型コロナ感染者数が多い地域の落ち込みが目立つ。10都市の総額は前年より1兆1600億円超も減少しており、全国の減少額のうち75%超を占める。
■免税、売上・客数共に激減 購買単価は4~5倍に激増
10都市のマイナス幅が全国水準を上回った要因のひとつは、コロナ禍前の19年まで3年連続で過去最高を更新してきた免税売上高の激減だ。20年は約686億円(調査対象89店舗)で、前年比は80.2%減という激減ぶり。総額では過去最高だった19年(3461億円)に比べ2775億円も減少した。2700億円台は、20年の地区別売上高の中で、10都市の横浜や名古屋地区に匹敵する規模だ。
■食品の売上シェア3割超え 高額品と家電が後半伸びる
主要5品目の動向では、マイナス幅が最も少ないのが食品で、15.9%減(1兆3193億円)。他の主要4品目が3割前後のマイナスまで落ち込んだことで、食品の売上高構成比は前年より3.6ポイントも上昇し31.3%となり、3割を突破した。食品の中でも生鮮が9.3%減に収まったものの、コロナ禍前まで堅調だった菓子が20.4%減、同じく惣菜が17.2%減と足かせとなった格好。菓子は手土産や贈答品需要の激減の影響が大きい。このことからもコロナ禍に伴う外出自粛や在宅勤務の浸透、巣ごもり(イエナカ)消費の拡大によって、消費が大都市圏から生活圏の店舗にシフトした傾向が垣間見える。
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